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電磁誘導

コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに起電力が生じます。ε = −N dΦ/dt(ファラデーの法則)。マイナス符号はレンツの法則で、誘導電流は必ず変化をじゃまする向きに流れます。磁場の中で棒を動かすと運動起電力 ε = Blv が生じます。電流が変化すると、そのコイル自身(自己誘導、L)と近くのコイル(相互誘導、M)に起電力が生じます。

🎬 ステップ別ストーリー

  1. コイルに検流計をつなぎます。棒磁石は近くで止まっています。何も変化していないので、針は0のままです。
  2. 磁石をゆっくりコイルに入れます。コイルを通る磁力線が増えるので、磁束が増えます。針が動きます。磁石が止まると、針は0にもどります。
  3. 同じ磁石を速く入れます。磁束がより短い時間で変わるので、針は大きくふれます。変化が速いほど、起電力は大きくなります。
  4. 次に磁石を引き抜きます。針は逆向きにふれます。コイルの面はS極になり、磁石を引きもどそうとします。これがレンツの法則です。
  5. 磁石のかわりに2つ目のコイルを置いてスイッチを入れます。その電流が増え、磁束が増え、検流計の針がはねます。これが相互誘導です。
  6. 自由に遊ぼう:磁石をスライドさせ、巻き数を変え、スイッチを押してみましょう。光る磁束と起電力の数字を見てください。

ヒント:3Dをドラッグすると回せます。2本指で拡大・縮小できます。

🤔 よくある疑問をスッキリ解決

磁石がコイルの中にあって動かないとき、なぜ電流が流れないのですか。

起電力には磁束の変化が必要です。静止した磁石は一定の磁束しか与えないので、dΦ/dt = 0 で ε = 0 です。

磁石でなくコイルを動かしても同じですか。

はい。大事なのは相対的な動きだけです。どちらを動かしても、コイルを貫く磁束は変わります。

速く押すと、なぜ針が大きくふれるのですか。

同じ磁束の変化がより短い時間で起こるので、dΦ/dt と起電力が大きくなるからです。

磁石が遠ざかるとき、なぜ針は逆向きにふれるのですか。

磁束は増えるのでなく減っています。誘導電流は磁束を保とうとして逆向きになります。

磁石がなくても、コイルが別のコイルに電流を生めるのはなぜですか。

電流は自分の磁場をつくります。その電流が変わると、2つ目のコイルを貫く磁束が変わり、起電力が誘導されます(相互誘導)。

巻き数が多いと、なぜ起電力が大きくなるのですか。

どの巻きにも同じ起電力が生じ、巻きは直列につながっているので、起電力が足し合わされます。ε = N dΦ/dt。

磁束:輪を通る磁力線を数える

磁束(Φ)は、ある面をどれだけ磁場が通りぬけるかを表します。輪を通る磁力線の本数だと考えるとよいでしょう。

Φ = B A cos θ。B は磁場、A は輪の面積、θ は B と法線(輪の面からまっすぐ立つ線)のあいだの角です。SI単位はウェーバー(Wb)で、1 Wb = 1 T m² です。

輪が磁場に正面から向いているとき(θ = 0)に磁束は最大になり、輪が真横を向くとき(θ = 90°)に0になります。

ファラデーの電磁誘導の法則

マイケル・ファラデーとジョセフ・ヘンリーは、磁束が変化すると起電力が生じることを発見しました。どんなに強くても、変化しない磁場は何も生みません。

第1法則

回路を貫く磁束が変化すると、起電力が誘導されます。回路が閉じていれば電流が流れます。これは変化が続いているあいだだけです。

第2法則

誘導起電力の大きさは磁束の変化の速さに等しく、N 回巻きのコイルでは |ε| = N dΦ/dt です。

磁束を変える方法は3つあります。B を変える(磁石を動かす)、A を変える(輪を引きのばす、または一部をスライドさせる)、θ を変える(輪を回す)です。

誘導起電力と誘導電流

起電力は、開いたコイルにも生じます。電流が流れるのは回路が閉じているときだけで、I = ε / R です。

流れる電気量は、磁束の全体の変化だけで決まり、変化の速さには関係しません。q = N ΔΦ / R。ゆっくり押しても速く押しても同じ電気量が流れます。速く押すと、より大きく短いパルスで流れます。

運動起電力

長さ l の棒が、磁場 B の中を(3つとも直角に)速さ v で動くと、1秒ごとに面積 l v をなぞります。だから ε = B l v です。磁気力 qvB が棒の中の自由電子を一方の端へ押すと考えることもできます。

渦電流

金属の板を貫く磁束が変化すると、板の中に小さな渦巻き状の電流が生じます。これを渦電流といいます。金属を熱し、動きをじゃまします。IHクッキングヒーターや電車のブレーキに使われます。変圧器では、うすい板を重ねた鉄心にして渦電流を減らします。

レンツの法則:電流はどちらに流れるか

レンツの法則:誘導電流は、それを生んだ磁束の変化をじゃまする向きに流れます。だからファラデーの法則にはマイナス符号がつきます。ε = −N dΦ/dt。

磁石のN極が近づく → コイルの近い面はN極になる(磁石を押しもどす)。磁石が遠ざかる → コイルの近い面はS極になる(磁石を引きもどす)。

レンツの法則はエネルギー保存です。この逆らう力にさからって仕事をしなければならず、その仕事が電気エネルギーになります。もし電流が変化を助けるなら、エネルギーをただで得られてしまいますが、それはありえません。

まっすぐ動く棒にはフレミングの右手の法則を使います。親指=運動、人さし指=磁場、中指=誘導電流です。

自己誘導と自己インダクタンス(L)

コイルの電流が変わると、そのコイル自身の磁束が変わるので、同じコイルに起電力が生じます。これが自己誘導です。この起電力は電流の変化をじゃまするので、逆起電力とよばれます。

N Φ = L I、ε = −L dI/dt。L は自己インダクタンスで、単位はヘンリー(H)です。1 H = 1 V s/A。

長いソレノイドでは L = μ₀ n² A l = μ₀ N² A / l です。中に鉄心を入れると L は μᵣ 倍になります。

インダクタは電流にとっての慣性のようなものです。磁場にたくわえられるエネルギーは U = ½ L I² です。

相互誘導と相互インダクタンス(M)

コイル1の電流が変わると、近くのコイル2を貫く磁束が変わり、コイル2に起電力が生じます。これが相互誘導です。

N₂ Φ₂ = M I₁、ε₂ = −M dI₁/dt。同じ軸の2つの長いソレノイド(内側の半径 r₁、長さ l)では M = μ₀ n₁ n₂ π r₁² l です。また M₁₂ = M₂₁ です。

コイルが近いほど、同じ鉄心に巻くほど、軸がそろっているほど、M は大きくなります。変圧器やワイヤレス充電器は相互誘導を使っています。

やってみよう:実験

やってみよう:3Dで巻き数 N = 4 にして、磁石をドラッグして入れます。「Last kick」の値をメモしましょう。次に N = 16 にして、同じ速さでドラッグします。ふれは約4倍になります。ε = −N dΦ/dt だからです。家でもできます。小さなスピーカーやおもちゃのモーターにLEDをつなぎ、モーターの軸を速く回すと、LEDが光ることがあります。あなたは発電機を動かしているのです。

重要な公式と用語

例題

1. 面積 0.02 m² の輪が 0.5 T の磁場の中にあります。(a) 磁場が法線に沿っているとき、(b) 法線と 60° の角をなすときの磁束を求めなさい。

(a) Φ = BA cos 0 = 0.5 × 0.02 × 1 = 0.01 Wb。(b) Φ = 0.5 × 0.02 × cos 60° = 0.01 × 0.5 = 0.005 Wb。

2. 200回巻きのコイルを貫く磁束が 0.1 s で 4 mWb から 1 mWb に減りました。平均の誘導起電力を求めなさい。

ΔΦ = 1 − 4 = −3 mWb = −3 × 10⁻³ Wb。ε = −N ΔΦ/Δt = −200 × (−3 × 10⁻³)/0.1 = 6 V。

3. 長さ 0.5 m の棒が、0.3 T の磁場に直角に 4 m/s で動きます。棒は抵抗 2 Ω の回路の一部です。起電力と電流を求めなさい。

ε = B l v = 0.3 × 0.5 × 4 = 0.6 V。I = ε / R = 0.6 / 2 = 0.3 A。

4. L = 50 mH のコイルの電流が 10 ms で 5 A から 0 に下がりました。自己誘導起電力を求めなさい。

ε = −L dI/dt = −0.05 × (0 − 5)/0.01 = +25 V。この起電力は電流を流し続けようとします(減少をじゃまします)。

5. 巻き数 500、長さ 0.5 m、断面積 4 × 10⁻⁴ m² の空芯ソレノイドの L を求めなさい。(μ₀ = 4π × 10⁻⁷)

L = μ₀ N² A / l = 4π × 10⁻⁷ × 250000 × 4 × 10⁻⁴ / 0.5 = 4π × 10⁻⁷ × 200 ≈ 2.51 × 10⁻⁴ H ≈ 0.25 mH。

6. 2つのコイルの M = 1.5 H です。最初のコイルの電流が 0.5 s で 0 から 20 A に増えます。2つ目のコイルの起電力と、それを貫く磁束の変化を求めなさい。

ε₂ = M dI₁/dt = 1.5 × 20 / 0.5 = 60 V。磁束鎖交数の変化 = M ΔI₁ = 1.5 × 20 = 30 Wb(巻き数をかけた値)。

7. 長さ 1 m の金属棒が、回転軸に沿った 0.2 T の磁場の中で、一端を中心に 20 rad/s で回ります。両端のあいだの起電力を求めなさい。

ε = ½ B ω l² = 0.5 × 0.2 × 20 × 1² = 2 V。

8. 抵抗 5 Ω の 100回巻きコイルで、磁束が 2 × 10⁻³ Wb 変化しました。流れた電気量はいくらですか。

q = N ΔΦ / R = 100 × 2 × 10⁻³ / 5 = 0.04 C。変化の速さには関係しません。

よくある間違い

練習クイズ

1. 磁束のSI単位は:
2. コイルの誘導起電力は何で決まるか:
3. レンツの法則は何の保存から導かれるか:
4. 長さ l の棒が磁場 B に垂直に速さ v で動くとき、起電力は:
5. ヘンリーという単位は何に等しいか:

練習:自分で答えてみよう

答えを入力するか選んで、「チェック」を押そう。困ったらヒントを見てね。解答は答えたあとに表示されます。

よくある質問

電磁誘導とは、かんたんに言うと何ですか。

変化する磁場で電気をつくることです。コイルを貫く磁場が変化すると、コイルに電圧が生じます。

自己誘導と相互誘導の違いは何ですか。

自己誘導では、変化する電流が同じコイルに起電力を生みます。相互誘導では、近くのコイルに起電力を生みます。

ファラデーの法則になぜマイナス符号があるのですか。

マイナス符号はレンツの法則です。誘導起電力が磁束の変化をじゃますることを示しています。

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