会計における倫理の役割
倫理とは、何が正しいかを知り、だれも見ていなくてもそれを行うことです。会計では、数字が真実で、もれがなく、公正であることを意味します。
なぜ大切なのか: 貸す側は融資を、投資家は株の購入を、従業員は給料の交渉を、政府は税の徴収を、これらの数字を使って決めます。会計が信用されなくなると、会社はお金を集められません。
よくあるジレンマ
- オーナーが、税金を減らすために家族旅行などの私的な支出を会社の経費にするよう頼む。
- ボーナスの目標に届かせるため、来月の売上を今月に記録するよう上司が頼む。
- 取引先が「甘めに見てほしい」と贈り物を差し出す。
- 友人が、ある取引先の給料や借金について聞いてくる。
小さな会社では、会計担当者がひとりで、オーナーの近くで働くことが多いため、圧力は個人的なものになります。簡単なテストが役立ちます。合法か? みんなに公平か? ニュースになっても平気か?
なぜ厳しい基準が必要か、破ったときのコスト
基準(GAAP、IFRS、インドのInd ASのような各国の基準)は、すべての会社に同じ方法で記録させます。そのおかげで財務諸表を比べたり、確かめたりできます。監査基準や法律(たとえば大きな不祥事のあとにできた規則)は、独立したチェックと、財務諸表に署名する経営者の個人的な責任を加えます。
不正行為の結果
- 従業員にとって: 仕事を失う、専門資格を失う、罰金、前科、二度と戻らない評判。
- 会社にとって: 罰則、訴訟、株価の下落、顧客を失う、さらには倒産。
- まわりの人にとって: 投資家、貸した人、従業員がお金や仕事を失い、すべての企業への信頼が下がる。
不祥事は実務を変えてきました。監査ルールの強化、監査人の交代制、監査委員会、内部告発者の保護などです。
職業倫理の要素
世界の職業団体は、よく似た原則に従っています。
- 誠実性: 正直で、まっすぐであること。
- 客観性: 偏り、利害の対立、贈り物に判断をゆがめさせないこと。
- 専門的能力と正当な注意: 知識を新しく保ち、注意深く仕事をすること。
- 守秘義務: 法律で求められない限り、顧客や雇用主の情報をもらさないこと。
- 職業人としての行動: 法律を守り、職業の名前を傷つけることを避けること。
会社の行動規範には、懸念をどう報告するか(ホットライン)、どんな贈り物なら受け取れるか、規則を破るとどうなるかも書かれています。
今の課題と会計士の役割の変化
- テクノロジー: クラウドソフトと自動化が日常の記帳をこなし、AIが請求書を読み取って不自然な記録を見つけます。会計士は分析やアドバイスに多くの時間を使うようになります。
- サイバーセキュリティとデータのプライバシー: 財務データをハッキングから守らなければなりません。
- 世界共通の基準: 投資家が国をまたいで会社を比べられるよう、IFRSを使う国が増えています。
- サステナビリティ報告: 会社は利益とともに、二酸化炭素の排出量や社会への影響も報告するようになっています。
- 新しい資産: 暗号資産やデジタル決済は、評価や不正についての新しい問いを生みます。
会計士は記録係から経営のアドバイザーでありデータ分析者へと変わりました。だからこそ倫理はいっそう大切です。
重要な公式と用語
- 重要語: 倫理 = だれも見ていなくても正しいことをすること
- 利益相反 = 個人の得と職務上の義務がぶつかること
- 内部告発者 = 不正を報告する人
- 粉飾(ウィンドウドレッシング) = 財務諸表を実際よりよく見せること
- 倫理テスト: 合法か? 公平か? 公開されても平気か?
例題
1. オーナーが、4,000の家族旅行を会社の出張費として記録するよう頼んできました。あなたはどうしますか?
断ります。それは私的な支出(引出金)で、会社の費用ではありません。出張費にすると税金を不当に減らすことになり、誠実性に反します。引出金 4,000を借方、現金 4,000を貸方に記録します。
2. 3月28日、上司が、年間目標に届かせるために4月の売上15,000を今すぐ記録するよう頼んできました。説明してください。
してはいけません。収益は、それを得た期間に属します。動かすと今年の利益がふくらみ、誠実性と会計基準に反します。4月に記録します。
3. 会社がどの仕入先を使うか決める前に、仕入先が高価な携帯電話を送ってきました。
返すか、会社に申告します。受け取ると利益相反が生じ、客観性に反します。会社の贈答に関する方針に従います。
4. 利益は50,000でしたが、30,000の費用が隠されました。報告された利益はいくらで、何パーセント多く見せたことになりますか?
報告された利益は80,000です。過大表示 = 30,000 ÷ 50,000 × 100 = 60%。
よくある間違い
- 合法なら常に倫理的だと思うこと。法律は最低ラインで、倫理はもっと多くを求めます。
- 小さな変更なら問題ないと信じること。小さな不正な記録は大きくなり、信頼をこわします。
- 守秘義務を不正の隠ぺいと混同すること。法律が不正の報告を求めることもあります。
- 倫理は大企業だけのものだと考えること。小さな会社の会計担当者こそ、いちばん個人的な圧力を受けます。