センサー:機械が世界を感じるしくみ
センサーとは、世の中の変化(触れる、光、熱、動き)を、チップが読める電気信号に変える小さな装置です。
- タッチパネル:ガラスには薄い電気の場があります。指は少し電気を通すので、触れた一か所で場が変わります。スマホはその場所を見つけます。
- 光センサーとカメラ:光が小さなチップに当たると電子がはじき出されます。光が強いほど信号は大きくなります。何百万もの点が集まって写真になります。
- 動きセンサー(加速度センサー):スマホを傾けたり振ったりすると、中の小さな部品がずれ、そのずれが信号になります。これで画面が横向きになります。
- 温度・音・圧力のセンサー:それぞれ、条件が変わると一つの信号が変わります。
きまり:センサー → 信号 → チップが判断 → 出力。
チップと電池:頭脳とエネルギー
チップはシリコンでできた小さな板です。シリコンは半導体で、少しだけ電気を通し、通す・通さないを切りかえられます。1つのチップには、何十億もの小さなスイッチ(トランジスタ)がきざまれています。スイッチは1と0で動き、計算をします。
リチウムイオン電池は、リチウムイオンを2つの層(電極)の間で動かしてエネルギーをためます。充電するとイオンが片側に押しこまれ、スマホを使うとイオンがもどって電流が流れます。
電池のエネルギー(ワット時)= 電圧(V)× 容量(Ah)。3.7 V、5 Ah の電池は 3.7 × 5 = 18.5 Wh をためられます。
新素材:並び方が力になる
同じ原子でも、ちがう材料になることがあります。いちばんよい例が炭素です。
- 黒鉛(グラファイト):平らな層が重なり、層どうしがすべります。やわらかく、鉛筆の芯は紙に跡を残します。
- ダイヤモンド:どの炭素原子も3次元で4本の強い結合を持っています。天然でいちばん硬い物質です。
- グラフェン:黒鉛の1層だけを取り出したものです。厚さは原子1個分で、軽いのにとても強く、曲がり、電気と熱をとてもよく通します。
ほかの先端材料:温めると元の形にもどる形状記憶合金、軽くて丈夫なポリマー(プラスチック)、飛行機や自転車に使う複合材料(プラスチックに炭素繊維を入れたもの)、大きさが数ナノメートルほどのナノ材料などがあります。
考え方:原子の並び方を変えると、材料にできることも変わります。
新しい薬はどうやってつくるか
多くの病気には、体の中や病原体の中にある分子(標的)がかかわっています。薬は、鍵穴に入る鍵のように、標的に合う形につくられた分子です。ぴったり合えば、病原体の酵素をじゃましたり、はたらきすぎる細胞をしずめたりできます。
- 病気の原因になる標的を見つける。
- 標的に合う分子を探す、または設計する。コンピューターやAIは、何百万もの形をすばやく試せます。
- 安全のために、細胞で、次に動物(できるだけ少なく)で実験室テストをする。
- 人での臨床試験。最初は少人数で安全を確かめ、次に大きな集団で効くかを調べます。ここでは偽薬(プラセボ)と比べます。
- 承認と、発売後の副作用の監視。
ワクチンも似ています。病原体が来る前に、その目印を体に覚えさせます。この全体の流れには、10年以上かかることがよくあります。安全がいちばん大切だからです。
これから:科学と技術はどこへ向かうか
以前は、生物、コンピューター、材料は別々の分野でした。今は融合(ひとつに合体)しています。
- 生物+情報:バイオインフォマティクス、コンピューターでDNAを読んだり編集したりすること、AIによる薬の設計。
- 生物+ナノ:ナノ医療。薬を病気の細胞へ直接運ぶ小さな運び屋です。
- 情報+ナノ:賢いセンサーと、とても小さくて速いチップ。
- 3つ全部:体の状態を感じ取り、信号を分析して、医師に知らせるウェアラブルパッチ。
ほかの流れ:クリーンエネルギーとよりよい電池、人といっしょに働くロボット、宇宙や海の技術。新しい力には、プライバシー、公平さ、安全、費用といった選択がついてきます。よい科学者は「できるか」だけでなく、「すべきか、だれのためか」も問います。
やってみよう:科学を見つけよう
家でやってみよう:今日出会ったセンサーを5つ書き出しましょう(スマホ、エレベーター、ドアのライト、体温計、フィットネスバンドなど)。それぞれ、何を感じ取り、何をするのかを書きます。
3Dでやってみよう:薬のビューで、3つのスライダーを動かして薬を標的に合わせます。そのあと、スライダーを1つだけ1目盛り変えます。何が起きるでしょう。なぜ「ほぼ合っている形」ではだめなのでしょう。
重要な公式と用語
- センサーの流れ:センサー → 電気信号 → チップ → 出力
- 電池のエネルギー(Wh)= V × Ah
- 電流 I = P ÷ V(充電器の電力 ÷ 電圧)
- 炭素の形:黒鉛(層)、ダイヤモンド(3次元の網目)、グラフェン(1層)
- 薬は、形が標的に合うと働く(鍵と鍵穴)
- 薬の道のり:標的 → 設計 → 実験室テスト → 臨床試験 → 承認
例題
1. スマホを回すと画面が横向きになります。これを感じるセンサーの名前を答えましょう。
動きセンサー(加速度センサー)です。小さな部品にかかる重力の引きを感じ、傾きに応じて変わる信号を送ります。
2. 電池が 3.7 V、5 Ah です。どれだけのエネルギーをためられますか。
エネルギー = V × Ah = 3.7 × 5 = 18.5 Wh。
3. スマホの充電器が 5 V で 12 W を出しています。流れる電流はいくつですか。
I = P ÷ V = 12 ÷ 5 = 2.4 A。
4. 黒鉛もダイヤモンドも炭素です。なぜ一方はやわらかく、もう一方はとても硬いのですか。
黒鉛では、原子が平らな層に並び、層どうしがすべります。ダイヤモンドでは、どの原子も3方向すべてで強い結合にしっかり固定されています。
5. スマホの電池が 3.7 V、4 Ah です。スマホは 2 W を使います。だいたいどれくらいもちますか。
エネルギー = 3.7 × 4 = 14.8 Wh。時間 = 14.8 ÷ 2 = 7.4 時間。
6. なぜ薬は、承認される前に人での試験を受けるのですか。
まず安全を確かめ、次に偽薬と比べて本当に効くかを確かめるためです。実験室で標的に合う薬でも、体の中では危険だったり効かなかったりすることがあります。
よくある間違い
- 技術を魔法だと思うこと。どの機械も、感じる、信号にする、判断する、動くという簡単な科学の考え方のつながりです。
- 黒鉛とダイヤモンドは別の原子だと言うこと。どちらも炭素で、ちがうのは並び方だけです。
- シャーレの中で効いた薬はもう売れると信じること。安全テストと人での試験に合格しなければなりません。
- 電池の単位をまぜること。mAh は容量であって、エネルギーではありません。エネルギーには電圧も必要です(Wh = V × Ah)。