美的知覚とは何か
知覚とは、感覚を通して世界を受け取ることです。美的とは、美しさや感じ方に関わるという意味です。つまり美的知覚とは、ものをていねいに見て、それがどんなものかを感じ取ること。名前を言うだけではありません。
美的経験とは、立ち止まってじっくり見て、何かを感じる瞬間のことです。夕焼け、音楽、サリーの模様、学校の壁画など、何でも当てはまります。うれしい気持ちでも、落ち着く気持ちでも、悲しい気持ちでも、ふしぎな気持ちでもかまいません。どれも大切な経験です。
これは、ただ「好き」と言うこととは違います。「好き」は「好きだな」で終わります。美的知覚はさらに「何が見える? それは自分に何をする? なぜ?」と問いかけます。
五感で探る:観察
よい観察は、ゆっくりていねいです。画家は4つのことを見ます。
- 色:どんな色? あざやか、くすんでいる、あたたかい、つめたい?
- 形:丸い、とがっている、長い、小さい、大きい?
- 線:まっすぐ、曲がっている、太い、細い、とぎれている?
- 質感:表面はどう見えて、どう感じる? つるつる、ざらざら?
次に、ほかの感覚も使いましょう。音、におい、さわった感じ、味は、目だけでは得られない思い出や気持ちを足してくれます。マンゴーは、目には黄色くて丸く、指にはなめらかで、鼻にも口にも甘く感じられます。
コツ:小さな細部を見るには近づき、全体の形を見るには離れます。どちらの見え方にも発見があります。
経験・気持ち・雰囲気
感じ取ったものによって、気持ちは変わります。同じものでも、光や色や音がちがうと感じ方がちがってきます。
- あたたかい色(赤、オレンジ、黄色)は、にぎやかだったり、ほっとしたりする感じになりやすいです。
- つめたい色(青、緑、灰色)は、落ち着いた感じや静かな感じ、ときにはさみしい感じになりやすいです。
- するどい線は緊張した感じに、やわらかい曲線はおだやかな感じになりやすいです。
これらはよくある感じ方で、きびしいルールではありません。自分の気持ちに気づくことは、自分の内側の世界を知ることでもあります。気持ちを一言か二言で言ってみましょう。「落ち着く」「わくわく」「家が恋しい」など。
自分の反応・批評・自己表現
同じ作品を見ても、反応が人によってちがうのは、それぞれ思い出も文化も気分もちがうからです。あなたの自分の反応とは、作品を見て何を考え、何を感じたかのこと。友だちとちがっていてかまいません。
よい反応には3つの部分があります。見えたこと(事実)、感じたこと(自分の反応)、そしてなぜなら(見たことに結びついた理由)。例:「青い線がたくさん見える。長くて水のようにやわらかいから、落ち着く感じがする。」
これが芸術批評の第一歩です。「いい」「悪い」だけでなく、理由を言うこと。あとで、ほかの人の意見と比べることもできます。
自己表現は、その反対向きの動きです。色、線、音、言葉を使って、感じ取ったことや気持ちを表します。絵も詩もダンスも、自己表現になります。
自分とまわりの世界
あなたはまわりの世界の一部です。場所、季節、お祭りは気持ちを変え、気持ちは場所の見え方を変えます。このつながりに気づくと、自分とまわりのことがよくわかってきます。
多くの画家は、よく知っている自分の村、通り、家から始めます。あなたも同じようにできます。窓からの景色、台所、学校の廊下など。
やってみよう:10分間の観察
- 小さなものをひとつ選ぶ:葉っぱ、カップ、くつなど。
- 2分間じっと見る。色、形、線、質感をそれぞれ一言で書く。
- さわって、においをかぐ。それぞれ一言ずつ足す。
- ランプを動かすか、窓の近くへ持っていく。気持ちは変わる?
- 「見えたのは…、感じたのは…、なぜなら…」と書く。
- 見たままではなく、あなたが感じたように、5分で描く。
では、3Dの最後のステップに行って、光をスライドしてみよう。雰囲気のラベルは、あなたが書いたものと合っているかな?
重要な公式と用語
- 見る・感じる・表す:観察し、気持ちに名前をつけ、それを表す
- 見る4つのこと:色、形、線、質感
- 五感:視覚、触覚、聴覚、嗅覚、味覚
- 自分の反応 = 見えたこと + 感じたこと + なぜなら
- あたたかい色:にぎやか、ほっとする · つめたい色:落ち着く、静か
例題
1. 川にぽつんと浮かぶ舟を描いた青い絵を見ています。自分の反応はどう書けばよいですか。
小さな舟と、そのまわりに広がる青い空間が見える。静かで少しさみしい感じがする。舟がとても小さく、色がつめたいからだ。
2. 友だちが理由を言わずに「あの絵は悪い」と言いました。どうすればもっとよい反応にできますか。
「何が見えて、なぜ悪いと感じたの?」と聞きます。よりよい言い方は「きつい赤い線が見える。線がするどく交差しているから、不安な感じがする。」です。
3. 市場の場面を、視覚以外の感覚で味わう方法を2つ挙げなさい。
音:売り手の呼び声や、硬貨が鳴る音。におい:スパイスや生花の香り。さわった感じ:ざらざらした布、ひんやりした果物。どれも経験を豊かにします。
4. 同じお祭りのランプを、2人の生徒がちがう言い方で説明するのはなぜですか。
それぞれ思い出も文化もちがうからです。ひとりは家で過ごした楽しいディワリを思い出し、もうひとりはその日、病気でした。どちらの反応も、その人にとっては本当です。
よくある間違い
- 「いいね」や「いや」だけで終わらせる。何が見えて、なぜそう感じたかを言いましょう。
- 正しい感じ方はひとつだけだと思う。反応は人によってちがってよく、どれも正直なものになれます。
- 2秒見ただけで次へ行く。ゆっくり見ると細部が見えてきます。
- 友だちの感じ方をまねする。自分の思い出も、あなたの知覚の一部です。