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総需要と総供給:AD-ASモデルの考え方

AD-ASモデルは、国全体の経済を1枚のグラフで表します。縦軸は物価水準、横軸は実質GDPです。AD = C + I + G + (X − M) の線は右下がりです。短期では賃金がすぐには変わらないので、SRASは右上がりになります。LRASは完全雇用の生産量(潜在GDP)のところで垂直です。ADとSRASが交わる点が短期の均衡です。ADやSRASが動くと物価と生産量が変わり、インフレギャップやデフレギャップ(景気後退ギャップ)が生まれます。長期では賃金が調整されて経済はLRASの上に戻り、自動安定装置が景気の揺れをやわらげます。

🎬 ステップ別ストーリー

  1. 総需要とは、国の中のすべての支出のことです。式は C + I + G + (X − M) です。物価水準が下がると、人はより多く買えます。だからAD線は右下がりです。
  2. 短期総供給は右上がりです。賃金はしばらく変わりません。物価が上がると、企業は1個あたりのもうけが増えるので、たくさん作ります。
  3. 長期総供給は垂直な線です。完全雇用の生産量のところにあります。経済はADとSRASが交わる点Eに落ち着きます。
  4. ここで支出がふえます。ADが右に動き、物価も生産量も上がります。生産量は完全雇用より多くなります。これがインフレギャップです。
  5. 働く人が賃上げを求めます。費用が上がるので、SRASが左に動きます。生産量は完全雇用に戻りますが、物価水準は前より高くなります。
  6. あなたの番です。ADとSRASのスライダーを動かして、点E、物価水準、ギャップを観察しましょう。

ヒント:3Dをドラッグすると回せます。2本指で拡大・縮小できます。

🤔 よくある疑問をスッキリ解決

お金の総量が同じなのに、なぜADは右下がりなのですか。

物価水準が低いと、同じお金でより多く買えます(資産効果)。さらに金利が下がり、輸出も安くなるので、実質の支出がふえます。

なぜSRASは垂直ではないのですか。

賃金がしばらく固定されているので、物価が上がると1個あたりのもうけがふえ、企業はたくさん作ります。

なぜLRASは垂直なのですか。

長期では賃金が物価に追いつくので、物価水準は実質の生産量を変えられません。変えられるのは資源と技術だけです。

生産量が完全雇用より多くなることはどうして可能ですか。

短い間なら、人が残業をし、機械が追加のシフトで動きます。長くは続けられないので、物価と賃金が上がります。

長期では、物価の上昇分はどこから来るのですか。

賃金の上昇で費用が増え、SRASが左に動きます。その結果、生産量はY_Fに戻り、物価水準は高いままになります。

石油ショックはどう見えますか。

SRASのスライダーを上げてみましょう。Eは左上に動き、物価は上がり、生産量は下がります。

総需要(AD)

総(アグリゲート)とは「全部を足し合わせた」という意味です。総需要(AD)とは、それぞれの物価水準のもとで、国内の財やサービスに対して行われる支出の合計です。

AD = C + I + G + (X − M):家計の消費、企業の投資、政府の支出、そして輸出から輸入を引いたものです。

ADが右下がりになる理由

ADを動かすもの

同じ物価水準でC、I、G、純輸出のどれかを変えるものです。たとえば、景気への自信、所得税、中央銀行が決める金利、政府支出、外国の所得、為替レートなどです。ADの線の上を動くのは、物価水準が変わったときだけです。

短期総供給(SRAS)

短期総供給(SRAS)とは、費用の一部(おもに賃金や契約)が固定されているときに、それぞれの物価水準で企業が作ってもよいと考える生産量の合計です。

線は右上がりです。物価水準が上がっても賃金がしばらく変わらない(賃金が「硬直的」)と、1個あたりのもうけが増えるので、企業は人をやとい、たくさん作ります。

SRASを動かすもの

長期総供給(LRAS)と2つの見方

長期総供給(LRAS)は、すべての物価と賃金が十分に調整され、資源がフルに使われているときに、経済が作れる生産量を表します。この生産量を潜在GDPまたは完全雇用の生産量(YF)といいます。

古典派(自由市場)の見方

LRASは垂直です。長期では、物価水準は実質の生産量を変えません。変えるのは実物のものだけです。つまり、労働と資本の量と質、技術、制度です。失業率は自然失業率になります。

ケインズ派の見方

LRASの線は、生産量が低いところでは水平(遊んでいる人や機械がたくさんあるので、物価が上がらなくても生産量をふやせる)で、能力いっぱいに近づくと右上がりになり、フル稼働のところで垂直になります。そのため、経済は深い不況に長い間はまり込むことがあります。

LRASを右に動かすもの

人数がふえる、訓練が進む、資本がふえる、新しい技術、よい社会基盤(インフラ)、安定した法律などです。これが長期の経済成長です。

均衡、ショック、GDPギャップ

短期均衡とは、ADとSRASが交わる点のことで、物価水準(P)と実質GDP(Y)が決まります。長期均衡とは、その点がLRASの上にもあるときです。

4つのショック

GDPギャップ(%)= (実際のY − 潜在Y)÷ 潜在Y × 100。

やってみよう:スライダーを動かす前に、PとYが上がるか下がるかをノートに書きます。そのあと自由に動かして確かめましょう。

長期の自動調整と自動安定装置

自動調整(長期)

インフレギャップのときは、仕事がたくさんあるので、働く人は高い賃金を勝ち取れます。費用が上がり、SRASが左に動いて、YがYFに戻ります。ただし物価水準は前より高くなります。デフレギャップのときは、失業が賃金を(ゆっくり)押し下げ、SRASが右に動いて、YはYFに戻り、物価水準は前より低くなります。古典派の経済学者はこの仕組みを信じます。ケインズ派は、賃金はとてもゆっくりしか下がらないので、政府の行動が必要だと考えます。

自動安定装置

これは、新しい法律がなくても経済の状態に合わせて自然に変わる、予算の仕組みです。

これらはADの揺れを小さくします。いっぽう裁量的政策は、意図的に決める新しい対策(景気対策パッケージや利下げ)のことです。

重要な公式と用語

例題

1. ある国で C = 600、I = 150、G = 200、X = 120、M = 170(すべて10億ドル)です。ADを求めなさい。

AD = C + I + G + (X − M) = 600 + 150 + 200 + (120 − 170) = 950 − 50 = 900(10億ドル)。

2. 潜在GDPは2,000(10億)、実際のGDPは1,900(10億)です。GDPギャップとその種類を求めなさい。

ギャップ = (1,900 − 2,000) ÷ 2,000 × 100 = −5%。マイナスなのでデフレギャップ(景気後退ギャップ)。

3. AD:P = 12 − Y、SRAS:P = 2 + Y です。均衡のYとPを求めなさい。

等しいとおく:12 − Y = 2 + Y → 10 = 2Y → Y = 5。よって P = 12 − 5 = 7。(3Dのステップ2です。)

4. 支出がふえてADが P = 14 − Y になりました(SRASは P = 2 + Y のまま、Y_F = 5)。新しい均衡とギャップを求めなさい。

14 − Y = 2 + Y → Y = 6、P = 8。ギャップ = (6 − 5) ÷ 5 × 100 = +20% → インフレギャップ。PもYも上がりました。(ステップ3。)

5. 例4の状態から、賃金が上がってSRASが P = 4 + Y になりました。長期の結果を求めなさい。

14 − Y = 4 + Y → Y = 5、P = 9。生産量は Y_F = 5 に戻りましたが、物価水準は7から9に上がりました。これが長期の自動調整です。(ステップ4。)

6. 石油ショックでSRASが P = 2 + Y から P = 4 + Y に動きました。ADは P = 12 − Y のままです。何が起こりますか。

12 − Y = 4 + Y → Y = 4、P = 8。物価水準は上がり(7 → 8)、生産量は下がる(5 → 4):スタグフレーションで、ギャップ = −20%。

よくある間違い

練習クイズ

1. 総需要に入らないものはどれですか。
2. SRASが右上がりになるのはなぜですか。
3. 古典派の見方では、LRASは次のどれですか。
4. 石油価格の大幅な上昇で、もっとも起こりやすいのはどれですか。
5. 自動安定装置はどれですか。

練習:自分で答えてみよう

答えを入力するか選んで、「チェック」を押そう。困ったらヒントを見てね。解答は答えたあとに表示されます。

よくある質問

AD-ASモデルとは何ですか。

縦軸に物価水準、横軸に実質GDPをとって、国全体の経済を表すグラフです。総需要、短期総供給、長期総供給を示します。

SRASとLRASのちがいは何ですか。

SRASは賃金が硬直的なので右上がりです。LRASは、長期ではすべての物価と賃金が調整されるので、潜在GDPのところで垂直です。

GDPギャップはどうやって解消されますか。

賃金や物価の変化によって、時間とともにSRASが動きます(自動調整)。財政政策や金融政策はそれを早められ、自動安定装置は揺れをやわらげます。

学ぶ場所

England (GCSE, A level)Year 134.2 National economy (A-level extension)
USA (Common Core, NGSS, AP)Grade 12National Income and Price Determination

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